TS-480HXにはバンドスコープがありません。パイルアップの度にRITをグリグリ回してリターンポイントを推測していましたが、一念発起してHDSDRによるバンドスコープとCW Skimmer環境を構築しました。
バンドスコープやCW Skimmerがなくても、ペディション局の癖はわかりますし、何となくどこで呼べば良いのかわかります。しかし、これらを導入してわかったことは、
- リターンポイントがわかった瞬間、パイルの山がそこに移動します。バンドスコープやCW Skimmerはもはや標準機能であることを思い知らされました。
- リターンポイントが移動すると、すぐにその周波数付近で皆さんコールし、たちまちカオス状態となるため、ペディション局は頻繁にリターンポイントを変更します。
特に、リターンポイントが頻繁に変更される傾向は、耳で聞いているだけでは、対応がものすごく大変になります。疲労度が全然違います。もっと早く導入すべきでした。
構築方法はネットで検索すると出てきますので、TS-480で実現する場合のポイントのみ記載します。
必要な機器)
- SDRplay RSP1A(日本の代理店から購入)
- IF Buffer Amp - PAT85M5(KD2C局のサイトから購入)
ソフトウェア)
構築手順)
- TS-480の1st IF(73.095Mhz)をCN152から取り出し、IF Buffer Amp - PAT85M5に接続します。当初はBuffer Ampを省略し、送信時は1st IF~SDRplay RSP1A間をRFリレーで切り離していました。送受信の度にリレーがうるさいのと、ハイインピーダンスのIF信号を同軸ケーブルで引き回した場合の影響を懸念し、IF Buffer Ampを入れることにしました。
- IF Buffer Ampはリグ内部に組み込みます。電源は受信時のみ供給されるTS-480のRxB(8V)より供給します。回路図にも基板上にもRxBの記載があります。このポイントは複数ありますが、非常に込み合った場所にあり、取り出しに難儀しました。
- IF Buffer Ampの出力を同軸ケーブルでSDRplay RSP1Aに接続します。
- SDRplay RSP1AのIF Modeは「Low IF」を選択します。これで受信周波数付近に現れるイメージ妨害(キャリア)の問題が解消します。SDRのソフトウェアでこのイメージ妨害のみ排除することもできますが、「Low IF」にした方がスムーズです。
- VB-CABLE Virtual Audio Device(仮想オーディオデバイス)はHDSDRでCW Skimmerを広帯域で使用するために必要です。
1st IF(73.095Mhz)はCN152から取り出します。
電源は受信時のみ供給されるRxB(8V)より供給します。RFC経由のため、ここからの供給が良いのですが、狭いので取り出しが困難です。この場所から取り出し困難な場合は基板左下のRxBの刻印がある所でも問題ありません。
IF Buffer Ampはこの位置に設置します。(超強力両面テープで貼り付けます)ここしか空間はありません。赤色のケーブルはRxB(8V)をIF Buffer Ampに供給するためTS-480HXの基板にはんだ付けしています。とても狭い場所のためRxB(8V)の取り出しは二度とやりたくありません。
SDRplay RSP1AのIF Modeは「Low IF」を選択します。
構築してみて)
大満足です。1st IFを取り出すために、リグ内部にはんだごてをあてますので、それ相応のリスクがあります。IF outや、RF outのある機器に買い替えて、200Wが欲しいのであれば、別途リニアアンプを買った方が良いかもしれません。特にIC-7300は安価です。後に続く方への参考になればと思い書いてみました。この手法は古めの機器への適用も可能です。ネットで「SDR IF TAP」で検索すると多くの情報を入手できます。