知人より「某社の仮想アースを検討しているのだけど、どう思うか」と聞かれました。このような質問の多くは(私もそうなので)「購入したいので背中を押して欲しい」といったことなのでしょうが、次のとおり答えました。
- どう考えても電気的なアースではない
- オーディオ用の電源ケーブルやラインケーブルを交換すると音が良くなることがあること同様、これを導入することで「音が良くなる」といったことを否定するわけではない
- オーディオ用の電源ケーブルやラインケーブルはノイズを減らす方向で設計されているものが多いが、仮想アースはアースではなく、またアースにも接続されているわけではないので、それ自身が空間の電波やノイズを拾いアースラインの電位を変化させる方向に働くのではないか。ただし、これが「音が良くなる」といった方向で作用する可能性は否定できない
- 過去に医療用のアイソレーショントランスを使用していたときに、トランスのシールドを良かれと思いトランスのシャーシーに落としたところ、当アイソレーショントランスに接続したアンプのS/Nが悪化した経験がある。ピュアオーディオ機器のアースラインはシビアかつセンシティブであるため、素人が容易にいじくって改善するというほど甘いものではないと考える
しばらくして、知人はメインシステムに導入して好みに合っていると評価しているQED REFERENCE XLR40をサブシステムでも導入する方向で考えると話していました。効果が分かっているものへの投資の方が遥かに満足度が高くなると考えます。
【補足】医療用アイソレーショントランス
10数年前にカナダ製の医療用アイソレーショントランス(トロイダルトランス/3KVA)を使っていました。私の環境では以下の理由により手放しました。
- 音が詰まった感じになる。
- 躍動感がスポイルされ、つまらない音になってしまう。
- S/Nが良くなったかどうかは判断できない。