無線とピュアオーディオ JN1NBU

無線とピュアオーディオ JN1NBU

2015年11月に再開局しました。25年間のブランクがあります。ピュアオーディオは私の中では「あがり」と考えていますが新製品が発売となるとつい気になってしまいます。沼とならないよう自制するのが大変です。

7F37Rを使用した50MHzのリニアアンプ

この記事の内容はフィクションです。過去に似たような話を聞いたり実物を見たことがあっても、それはこの記事の内容とは異なる事例とご理解願います。

今から30数年前のことになります。ハムフェアーにて「放送局放出品の球があるが使ってみないかと」と声をかけられました。

そこには見たことのない送信管がありました。東芝の7F37Rとの説明を受けました。規格表のコピーを見せていただくと動作例としてプレート電圧4,000V スクリーングリッド電圧800Vとあります。プレート電圧が高く、使いにくそうです。

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「5,000円でいいよ」と言われてはみたものの、高いプレート電圧やスクリーングリッド電源が必要なことから、制作費用は新品の3-500Zx2本を使った場合と変わらないだろうし、そもそもソケットやチムニーはどうやって入手するのかと考えましたが、気が付くとその球を大事そうに抱えていました。

制作方針をたてました。

  • 周波数は50MHz
  • プレート電圧は4,000V。1,600Vx 1Aのトランスを特注し倍電圧整流とする。無負荷時は4,200Vになります。
  • ヒータートランス、SGトランスも特注
  • ケースは市販のフロアー型のロッカーを使用、内部にシャーシを組み立てる
  • ソケットとチムニーは自作

ソケットはRCAプラグの内径と7F37Rのピンの直径が一致することが分かりRCAプラグを流用、ガラスエポキシ板でソケットを制作。ブロアーは極力球の近くに設置し、途中のダクトもガラスエポキシ板で制作。チムニーはテフロンシートを使用しました。制作期間は2か月、制作費は100,000円程度に収まりました。想定より安価に制作できました。

入力および出力のマッチング回路の事前調整は球を抜いた状態で真空管側に負荷抵抗(普通のカーボン抵抗です)を接続し無線機とSWR計で行いました。いかにもアマチュア的な手法です。

さて、火入れです。5W程度でドライブしてみました。チューニングをとると100W程度は出たでしょうか。なんだかうまくいってそうです。

最終的には600W程度の出力を確認しましたが、効率が45%程度しかでません。おそらく部品の配置やシャーシの設計が最適化されていないためでしょう。3-500Zx2本相当を狙っていたので、残念な結果となりました。

その後、このアンプは3-500Zx2本に生まれ変わりました。高圧トランスは変更していませんので、プレート電圧は無負荷時は4,200Vと規格上限4,000Vを超えています。今制作するとしたら絶対にありえない設計です。効率は45%程度でしたので、実装に問題があった件は解決しておりませんでしたが、3-500Zx2本にふさわしいパワーはでていました。回路も簡単ですしパワーも容易に得られました。最初から3-500Zx2本で制作しておけば良かったのですが、これも良い経験でした。

当時はこんな話はゴロゴロしていました。懐かしい思い出です。