このアンテナ、耐電力はSSBで1,500W。つまり1,500W PEPです。先日、各アンテナメーカーから、「新デジタルモード(FT8)で使用する場合はPEPの1/4~1/5で使用してください」というガイドがあるということを記事にしました。
実際はどうなのかということで、各バンドにて200Wで30分~1時間パイルアップに参加した後のコイルの温度を触った感じで確認してみました。
- コイルを使わない状態である17mバンド以上
全く温度変化を感じない - コイルを使う20mバンド以下
少し熱い感じ。恐らく50~60度くらい。思っていた以上に熱く、驚いています。外気温の高い夏場はもっと温度が上がることになります。熱い範囲はコイルを使っている範囲とコイルの上側のキャップ部分のみ。ローバンド程、熱く感じるコイルの範囲が広くなります。80mではパイルアップに参加していませんので未計測ですが、80mで使うのはコイル全体の1/3程度です。
コイル外側のポリカーボネート樹脂の耐熱温度は125度(融点は150度)です。そこまでの温度になっていませんので、耐電力をPEP 1,500Wとした場合、FT8での耐電力は300W~400W弱という考え方は正しいと思われます。一方、ここまで使った場合のマージンは殆どなく、コイルが破損するリスクは高いと考えています。
FT8時代となり、(コイルで短縮している)アンテナの耐電力はかなり大きいものが求められるということです。これは、コアによるコイルや固定コンデンサーをリレーで切り替えてチューニングするATUでも当てはまる考え方になります。
一方、コイルを使わない状態では、全く温度変化を感じられませんので、FT8で1,500W入れても大丈夫かもしれません。(冗談です!)
余談です)
HI-Q アンテナのfacebook(プライベートグループ)に参加してみると、このアンテナで1,500W運用されていると思われる方は見かけませんでした。多くの方はモービル運用で使用しており、100W~200W SSBでの運用です。ALS-500M(500W)のアンプを車載されている方も見受けられましたが、これもSSBだと思います。故障事例の多くは「経年変化によるコイル外装のひび割れ」「モーター故障」であり、DIY修理事例も見受けられます。構造や分解方法も分かりました。もちろんメーカーは修理を受け付けています。
余談です。その2)
再開局当初、ダイヤモンドのスクリュードライバーアンテナ SD-330を使っていました。40mバンド CWで150Wでパイルアップに参加してコイルを焼損させたことを思い出しました。このアンテナの耐電力は200W PEPです。CW 100W、FT8(当時はJT65A) 50Wが限界だったと考えています。